ディズニーは?
リスペクトしている劇作家の宮沢章夫氏の新作である「ニュータウン入り口 または私はいかにして心配するのをやめニュータウンを愛し土地を購入するのをきめたか」を三軒茶屋で観たのであった。
宮沢さんは「ギリシャ悲劇」に興味を持っており、役名もそこからインスパイアされたようだ。
フライヤーから引用すると「あるいは、アンディゴネーの決意、「おまえは生きるほうを選び、私は死ぬほうを選ぶ」という言葉は、現在の、ひどく通俗的な言葉を使えば、「ぬるさ」のようなものへの対抗にも響く。だが、その決意はときとして危険だ。また新しいやり方がきっとあるだからだ。決意を持って「生きるのを選ぶ方法」があるにちがいない」
舞台は大きな鉄の柱が印象的であった。また柱の上部にスクリーンがあり、そこに同時に演技されている映像が映し出される。
演技も暗転がほとんど使われずにシーンの切り替えしがとても上手く処理されていた。
赤い自転車が一台開演前から舞台にぽつんとおいてあったのも印象的であった。
日本ダンス普及会というグループがあやしげであった。
登場人物
アンティゴネ
イスメネ(その弟)
夫婦 根本洋一 根本和子
不動産業者(高村)
イスメネのバイト先(ビデオショップ)で働く女たち
オブディアン ジャスパー ペリドット
日本ダンス普及会
事務局長(実はポリュネイケス)
鳩男
カメラマン
気になったシーンは以下について
以下多少ネタばれありますので、これからごらんになる方はお気をつけください。
■喜びのうちにすくいの泉から水を汲む
加奈子 その日には、あなたは言うであろう。
ポリュネイケス「主よ、わたしはあなたに感謝します。あなたはわたしに向かって怒りを燃やされたが、その怒りを翻し、わたしを慰められたからです。見よ、わたしを救われる神。わたしは信頼して、恐れない。主こそわたしの力、わたしの歌。
わたしの救いとなってくださった。」
加奈子 あなたたちは喜びのうちに救いの泉から水を汲む。
四人 喜びのうちに救いの泉から水を汲む。
■ディズニーは?
イスメネがバイトしているビデオショップにて
そこへ、加奈子を先頭に、人々が次々と現れるのでその対応に出るイスメネ
加奈子 あれ、あれあるかしら。
イスメネ(いらいらしつつ)はい、なんでしょう。
加奈子 こう、人が、人と会って、それで謎が隠されているのをひょんなことから、知ってしまった人がそれからひどいめにあって、格闘するような。
加奈子と同時に、全員が口々に見たい映画のことを話す。
浩 ディズニーは?
その声とともに全員沈黙。そして
加奈子 だめ。
■さまざまな出会い
以下の出会いは、さまざまな状況によって演じられる。それはときとして電車のなかかもしれない。あるいは、出会いは反復される。
このシーンは違う状況で同じセリフを繰り返すので、その反復具合がおもしろかったのであった。また往年のラジカルGSを彷彿されてくれて嬉しかった。
事務局長(実はポリュネイケス)役の南波典子さんは年齢不詳な感じと品のいい感じがとても好感がもてるのであった。