仮説・地方都市のコギャル

7月13日@六本木ヒルズ内六本木アカデミー

一橋大学大学院の楠木健氏によるわくわくするストーリーの戦略を考えようの講義の中で著作にも書かれていた地方都市のコギャルの自滅の論理。

成長している企業のイイトコ取りしようとおいしい部分だけ引き抜いてくると、ストーリーが伴わずに差異が増幅される。

防御の論理

B社はA社の戦略を模倣しようとするが障壁があるのでA社の競争優位が持続する。

自滅の論理

B社がA社の戦略を模倣しようとすること自体がB社とA社の差異を増幅する。B社の戦略の有効性を低下させる。

自滅の論理を思いついたのは、楠木さんが東北大学を訪れるためにバス停でバスを待っていたら、コギャルファッションの女子高生3人がバスを待っていたが、やり過ぎの感じ。トーマッチな感じがあったそうです。髪はギンギラで実験に失敗した博士のような髪型。重厚なマスカラ。アイシャドーと口紅は白く。髪飾りの花は巨大で。スカートの丈は短い。

楠木氏が過激なファッションだねって話しかけると女子高生はは「オジサン。これが普通だよ。シブヤとかもこんな感じでしょう」

楠木氏が「シブヤのコギャルのほうがおとなしめだよ」と反論すると。

女子高生は「CAWAII!!」を熟読して徹底研究しているから、どんなヘアスタイルやファッションやアクセサリーが流行っているか研究しているから抜かりないという。

しかし、明らかにコギャル度が過剰なのでした。

楠木氏がアパレルに勤めている友人の女性に訊くと、地方にいくほど過激になる。雑誌とかで研究していきなりコギャルをやろうとするとさじ加減がめちゃめちゃになる。ヘアスタイルやメイクから洋服まで全部派手にしたほうが良いと思って暴走しちゃうの」

成長企業の派手な構成要素だけ真似ると差異が増幅される。

真似ようとすること自体が違いを増幅する。

だからぜったいハロープロジェクトはAKB48の真似をしてはいけないのです。


一橋大学大学院の人気教授である楠木建氏は、競争戦略とイノベーションの研究者として各種メディアに登場したり、シンポジウムやセミナーなどでも活躍しています。

今年4月に東洋経済新報社から『ストーリーとしての競争戦略』を上梓しました。本文が500ページを超える大著ながら、斬新な切り口と、「話すように書く」というユニークな文体で読者の評判を呼び、経営書の中でのベストセラーになっています。

本書のメッセージを一言でいえば、優れた戦略とは思わず人に話したくなるような面白いストーリーだ、ということです。ひとつひとつの意思決定やアクションは戦略の構成要素にすぎません。戦略を構成する要素がかみあって、全体として長期利益というゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる。ストーリーの動きと流れが生き生きと浮かび上がってくる。これが優れた戦略の条件です。

流れを持ったストーリーというその本質からして、ある程度「長い話」にならざるをえません。しかしこれに反して、最近の戦略論は無味乾燥で奇妙な静止画の羅列が多いのが実情です。具体的に言うと「フレームワーク」、「テンプレート」、「ベストプラクティス」、さらには「ワンフレーズ」偏重になりがちであるということです。

このような傾向を楠木氏は懸念します。なぜなら、有効そうなテンプレートを持ってきて自社に流用するという発想は逆に戦略ストーリーを破壊してしまうからです。

面白く、生き生きとした動画という戦略論の本来の姿を取り戻す。ここに『ストーリーとしての競争戦略』のねらいがあります。

本講座では、楠木氏が競争戦略を「ストーリーづくり」として理解する思考様式とその背後にある論理を解説します。ストーリーという視点に立てば、競争戦略と競争優位についてこれまでとは違った景色が見えてくるはずです。


【講座内容】
・戦略は「ストーリー」
・優れた戦略の条件とは何か
・ケースで戦略ストーリーを読解する